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愛媛県宇和島市のミカン農家の被害
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宇和島市吉田町は、愛媛県内有数のミカン産地です。愛媛ミカン発祥の地として知られ、その歴史は200年以上となっております。昔から町内の急傾斜地に切り開いてきたミカン畑は、西日本豪雨によって甚大な被害を受けてしまっています。

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 ミカン農家はまず、自宅に被害があるケースが多いです。その自宅の片付けなどもあるため、なかなかミカン畑まで手が回りません。日常生活を取り戻す作業に追われる日々が続いているわけです。ミカンの収穫時期は9月です。しかし、ミカン畑の手入れができないので、今年のミカン出荷は大変厳しい状況になっております。

 ミカンの栽培にとって、7月から8月の時期は黒点病防止のための農薬散布に忙しくなる時期です。豪雨発生前は、これからスプリンクラーを使って黒点病の防除作業に取り掛かるというところであったミカン農家が多かったようです。そのため、農薬散布ができずに放置された状態が続いております。

 ミカンの木を守るためには、果実の間引き作業である摘果作業が欠かせません。果実がたくさん実り過ぎると、木の養分がそれだけ果実に蓄えられるため、木が弱ってしまうということになります。そうなってしまうと、次年度以降の収穫にも大きな影響を及ぼすことにつながります。それを防ぐのが果実の摘果作業となるのですが、ミカン畑までの道が崩落していて物理的に畑まで近づけないこと、ミカン農家同士で摘果作業要員を奪い合うこととなり人手自体が不足がちになっていることなどにより、なかなか摘果作業が進まないという事態になっています。

甘いミカンを作るには、柔らかい土壌を維持する必要があります。そのため、地盤が緩くなっているところが多いです。今回の豪雨によって、山の至る所で、山肌があらわになっているところが見えます。普段ならそこにあるはずの青々としたミカン畑も、根こそぎなくなっているようでした。また、農道も壊れているところも多いため、ミカン畑にあるスプリンクラーの破損の程度の把握もできていないところが多いようです。幸運にもミカン畑が無事であったとしても、このまま畑を放置していると、ミカン果実の品質が劣化してしまうことになりかねません。
 
 今回の豪雨により、場所によっては地盤の表層だけでなく、深層崩壊も起こっているようです。今後の調査が望まれるところですが、地盤という観点からも、今回の豪雨災害の被害の程度は計り知れないものであると言えます。

 農家では、保有設備の面でも大きな被害があったところが多いようです。例えば、散布機、選果機や草刈機などの農業用機械に加え、みかん運搬用のモノレール、ミニショベルなどの重機も水に漬かってしまっているケースもあるようです。ミカン農家は小規模な家族経営であることが多く、こういった被害に対して今後どう費用工面するかが大きな課題となってきます。

ミカンは、苗木を植えてから収穫まで5年から7年くらいかかります。ミカン農家は高齢者世帯が多く、苗木に被害を受けたところでは、新たに苗木を植えようという意欲がわいてくることを期待すること自体が困難で、離農していく可能性も否定できません。近年ミカンの売値が高まり、多くの若者が新たにミカン農家として就農するといった流れがあったのですが、その若者たちも、今後の収入の目途が立てにくいため、離農していくケースが増えてくることも考えられます。

 長期的な観点から、「ミカン畑をどう復旧させるか」、「そのためにはどの程度の時間がかかるか」、「費用負担はいくらになるのか」などを総合的に考えてみると、将来的なミカン農家の再建は、非常に厳しいものになると言わざるを得ません。とは言え、現地の主要産業は今後もミカンであることに代わりはないです。今後もミカン農家の動向から目が離せません。